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CNA解説:排出量ゼロの電力を購入した場合の算定方法について

排出量ゼロの電力を購入した場合、どのように算定すべきかについては、報告先によって変わる場合があります。
SHK制度での算定の場合
まず、環境省のSHK制度では、SHK制度のホームページで公開されている調整後排出係数を用いて排出量ゼロのメニューであれば、ゼロとして算定すれば問題ありません。
GHGプロトコルでの算定の場合
GHGプロトコルでは、スコープ2(間接排出、購入電力の使用に伴う排出)について、「ロケーション基準(Location-based)」と「マーケット基準(Market-based)」の2種類の報告方法を認めています。
スコープ2のマーケット基準で「排出量ゼロ」の電力を購入した場合、マーケット基準では、購入電力の排出係数を選択可能であり、例えば以下のような排出量ゼロの電力を選択した場合、スコープ2のマーケット基準の報告では排出量をゼロとすることが可能です。
排出量ゼロとみなせる電力の例
- 電力会社が保証する「100%再生可能エネルギー」プラン
- PPA(電力購入契約)を通じて直接調達した再生可能エネルギー
- 再生可能エネルギー証書(I-REC)付きの電力
これらの電力を利用し、GHGプロトコルのマーケット基準に従って排出係数をゼロにできる場合、スコープ2のマーケット基準の報告では排出量をゼロとして計上することが可能です。なお、I-RECについては2024年10月時点で日本では、一般社団法人ローカルグッド創生支援機構しか発行しておらず、Jクレジットなどはこの目的で使用できませんので、ご注意ください。
注意点
- ロケーション基準の報告も必要
- GHGプロトコルでは、スコープ2の排出量は「ロケーション基準」と「マーケット基準」の両方を開示することが推奨または義務化されています。
- そのため、マーケット基準でゼロになったとしても、ロケーション基準(実際の地域電力グリッドの平均排出係数で計算)では排出量が発生する可能性がある。
- 適切な証書・契約が必要
- 単に「再生可能エネルギーを使っています」と言うだけではマーケット基準のゼロ排出は認められず、適切な非化石証書(i-REC)を持っている必要がある。
- 電力会社の保証が必要
- 「100%再生可能エネルギー」プランを提供する電力会社であっても、その電力の追跡可能性(トラッキング)が不十分な場合、GHGプロトコルの基準に合わないことがある。(まれにSHK制度上排出量ゼロのメニューでもGHGプロトコルの基準に合わないことがあるケースが見られるようですので、事前に電力会社に問い合わせてください。)
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