脱炭素ホットニュース
2025.02.16
CNA解説:GHGプロトコルにおけるバイオガス等についての考え方

CNAの講義でよく質問されることの一つに、バイオガスの考え方があります。
GHGプロトコルにおいて、スコープ1(直接排出)に該当する排出量は、組織が自ら燃焼させる燃料や工業プロセスからの排出を指します。
グリーンガス(カーボンニュートラルなガス、バイオガス、グリーン水素など)を購入した場合、その排出量の算定方法は、燃料の種類とGHGプロトコルのルールに依存します。
バイオガスやグリーンガスの排出量の考え方
- 原則
- GHGプロトコルの「Corporate Standard」では、スコープ1の排出量は、使用した燃料の化学的特性に基づいて決定すべきとされています。 つまり、購入した燃料が物理的に排出を発生させる場合、原則として算定から排除することはできません。
- 生物的に固定化された炭素から直接排出されるCO2(バイオマス由来の燃料、バイオガスなど)
- バイオマス燃料の燃焼によるCO2排出といった、生物的に固定化された炭素から直接排出されるCO2は、スコープ1の排出として含めず、別途バイオジェニックなCO2排出として報告しなけばなりません。
- ただし、メタンや一酸化炭素など他の温室効果ガスの排出がある場合、それらはスコープ1の排出として算定が必要です。
- カーボンオフセットが組み込まれたガス(マーケット上で排出ゼロとされるもの)
- 排出量ゼロとみなされるグリーンガス(カーボンクレジット付きの天然ガスなど)を購入した場合でも、スコープ1の算定では実際の燃焼時の排出量を計算する必要があります。
- つまり、「カーボンオフセットが適用されている」ことは、算定上の排出量をゼロにする理由にはなりません。オフセットの効果は、別途報告すべきものです。
- GHGプロトコルでは、スコープ2(電力)においては「ロケーション基準」と「マーケット基準」の2種類の排出量報告方法を認めていますが、スコープ1にはこのような区分がありません。 そのため、マーケットで「排出量ゼロ」とされるガスを購入した場合でも、スコープ1の排出量算定ではそのガスの実際の燃焼に基づいた排出量を報告する必要があります。
マーケット上でカーボンオフセットが組み込まれて排出量ゼロとされるグリーンガスを購入した場合でも、GHGプロトコルのスコープ1ではその燃焼による実際の排出量を算定する必要があります。また、バイオマス燃料のCO2排出は別途報告する形になります。 もしカーボンオフセットの効果を示したい場合は、別途カーボンクレジットの購入や相殺の方法を開示する必要があります。
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