脱炭素ホットニュース
環境省がエネルギー需要側対策の取組状況を発表

環境省地球環境局地球温暖化対策課は、2024年10月31日に行われた中央環境審議会地球環境部会2050年ネットゼロ実現に向けた気候変動対策検討小委員会・産業構造審議会イノベーション・環境分科会地球環境小委員会中長期地球温暖化対策検討WG 合同会合の中で、「エネルギー需要側対策の取組状況」に関する報告書を発表しました。主に、家庭部門や業務部門における脱炭素化の進捗状況、課題、そして今後の施策の方向性について詳述しています。
1. くらしの脱炭素化
家庭部門の脱炭素化を推進するため、2022年10月に「デコ活」(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)が開始されました。さらに、2024年2月には「くらしの10年ロードマップ」が策定され、暮らしの全領域での課題とその解消に向けた取り組みが進められています。これに伴い、官民連携の「デコ活応援団」が立ち上げられ、2024年9月末時点で会員数は1,900を超え、官民連携プロジェクト数は78に達しています。また、2024年3月からはデコ活補助事業が開始され、ファッション分野の「衣類循環アップサイクルプロジェクト“roop”」など、9件の事業が進行中です。
家庭部門のエネルギー起源CO2排出量は、2022年度で1億5,800万トンとなっており、そのうち電力消費に由来する排出が69%を占めています。用途別では、照明・家電製品等が48%、給湯用が24%、暖房用が20%となっています。2013年度と比較すると、2022年度の家庭部門のCO2排出量は24.5%減少しており、これは電力のCO2排出原単位の改善や省エネの進展によるものです。しかし、さらなる削減のためには、国民・消費者のライフスタイル転換や行動変容が求められています。
2. バリューチェーン全体の脱炭素化
業務その他部門におけるエネルギー起源CO2排出量は、2022年度で1億7,900万トンとなっており、業種別では卸売業・小売業が21%、宿泊業・飲食サービス業が14%、医療・福祉が12%を占めています。燃料種別では、電力が74%を占めており、電力の排出原単位の改善が大きな効果をもたらしています。2013年度と比較すると、2022年度の業務その他部門のCO2排出量は23.6%減少しており、これも電力のCO2排出原単位の改善や省エネの進展によるものです。
建築物の省エネ化・脱炭素化に関しては、新築・既築ともに進められていますが、ZEH化率は2023年度で27.6%、ZEBは1%にとどまっています。建築コストの増加などの課題があり、特に既築建築物の対策が遅れています。今後は、建築物のライフサイクル全体でのCO2排出量の把握と削減に向けた取り組みが求められています。
3. 公共部門等における脱炭素化
公共部門においても、地球温暖化対策推進法の改正(2024年6月公布)により、日常生活における排出削減の促進が図られています。これに伴い、国民運動としての「デコ活」が推進され、国民の行動変容やライフスタイルの転換を促す取り組みが進められています。
JCNAの見解
環境省では、家庭部門や業務部門におけるエネルギー起源CO2排出量の現状と、その削減に向けた取り組みを推進しています。。特に、国民のライフスタイル転換や建築物の省エネ化・脱炭素化の重要性が強調されており、今後の施策の方向性として、これらの取り組みのさらなる推進が求められています。
環境省認定制度脱炭素アドバイザー・アドバンスト資格であるJCNAカーボンニュートラルアドバイザー・アドバンスト資格を運営するJCNAでは、特に企業の脱炭素経営の中で、建築物の省エネ化・脱炭素化を推進してまいります。
JCNAでは、環境省認定制度脱炭素アドバイザー・アドバンスト資格であるJCNAカーボンニュートラルアドバイザー・アドバンスト資格の認定を開始しました。 本資格を取得することで、中小企業の脱炭素経営に必要な知識を得ることができます。 資格の詳細へ