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2024.12.18

二国間クレジット制度日本基金について

二国間クレジット制度日本基金について

環境インフラ海外展開プラットフォーム(JPRSI)の2024年度第2回セミナーでは、アジア開発銀行(ADB) 環境・気候変動専門官 梁瀬 達也氏から、二国間クレジット制度日本基金(JFJCM)に関する最新動向の報告がありました。ここではJFCMの概要も含めて解説します。

JFJCMは、2014年にアジア開発銀行(ADB)の信託基金として設立されました。日本政府が出資し、低炭素技術の普及を通じた温室効果ガス排出削減を目的としています。対象国はADBの支援対象国である18カ国であり、再生可能エネルギーや廃棄物発電、高効率地熱発電などを含むプロジェクトを支援しています。


JFJCMの目的と仕組み

  1. 目的
    • ADBが支援するプロジェクトへの低炭素技術導入を促進。
    • クレジット発行を通じて、JCM制度に基づく排出削減量を日本の気候変動目標に貢献。
    • ソブリン(政府・公共セクター)およびノンソブリン(民間セクター)の両案件を支援。
  2. 仕組み
    • 追加的コストに対してグラント(無償資金協力)を提供。
    • 支援上限は、総事業費の10%または1,000万ドルのうち低い方。
    • 支援対象には、エネルギー起源CO2削減を伴う優れた技術が含まれる。

支援対象プロジェクト例

  1. モルディブ
    • スマート・マイクログリッド:高性能リチウムイオン電池やEMS(エネルギー管理システム)。
    • 廃棄物発電プロジェクト:焼却処理によるエネルギー生成。
  2. モンゴル
    • 再生可能エネルギー拡大プロジェクト:太陽光発電と高性能蓄電池。
    • 地中熱ヒートポンプを用いた建物のエネルギー効率化。
  3. インドネシア
    • 高効率地熱発電プロジェクト:持続可能なエネルギー供給の確立。

JFJCMとJCM設備補助事業の比較

  • 資金調達の前提
    JFJCMはADB融資を前提とし、支援対象国は18カ国に限定される。一方、JCM設備補助事業は29カ国を対象。
  • 支援額と条件
    両事業とも上限は1,000万ドル。ただし、JCM設備補助事業は導入技術に応じて補助率が異なる(例:初回導入50%、2~4件目40%)。
  • 審査とモニタリング
    JFJCMではADBが主体となり審査を行い、モニタリングやクレジット発行に責任を持つ。

最新の進展と展望

  • 進展
    2023年にはモルディブやパラオなどで新規プロジェクトが開始され、再生可能エネルギーや災害に強いクリーンエネルギーの導入が進んでいます。
  • 展望
    今後、JCM制度を活用したさらなる低炭素技術の普及と、新たなパートナー国での案件形成が期待されています。特に、地熱や蓄電技術の革新が注目されています。

環境省認定制度脱炭素アドバイザー・アドバンスト資格であるJCNAカーボンニュートラルアドバイザー・アドバンスト資格を運営するJCNAでは、JFJCMの取り組みは単なる国際貢献というだけでなく、日本企業にとってビジネスチャンスとなりうると考え、今後もJFJCMの取り組みについて注視していきたいと考えています。


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