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環境省が「地域脱炭素政策の今後の在り方に関する検討会 取りまとめ」を発表

2024年12月13日に環境省の「地域脱炭素政策の今後の在り方に関する検討会 取りまとめ」が発表されました。本取りまとめでは、2050年カーボンニュートラル実現に向けた地域脱炭素の現状、課題、新技術の導入、そして今後の政策方向性が詳述されています。
現状と課題
地球温暖化の進行に伴い、真夏日や大雨の増加、高温による農作物の生育障害などの影響が深刻化しています。2022年度の日本の温室効果ガス排出量は過去最低を記録し、減少傾向にありますが、2030年度の46%削減目標は依然として高いハードルです。この目標達成には、地方公共団体が主導する地域脱炭素の取り組みが不可欠です。
地域では、地場産業の育成、農林業の振興、公共交通の維持、観光地の活性化、防災力の強化、再生可能エネルギーの売電収益による地域課題の解決など、脱炭素を通じた地域経済の活性化事例が増加しています。しかし、小規模な地方公共団体や中小企業では、人材や財源の不足が課題となっています。また、再生可能エネルギー導入に伴う地域トラブルの増加を受け、地域共生型・地域裨益型の再エネ導入が求められています。
新たな技術の導入
ペロブスカイト太陽電池のような新技術や、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用した高度なエネルギーマネジメントが注目されています。また、グリーンスチールなどの脱炭素型製品の実装も必要です。さらに、エネルギー需要の高いデータセンターなどの施設を再エネポテンシャルの高い地域に誘致し、地域内の経済循環を促進することが重要です。
政策の方向性
地域のステークホルダーにとってメリットとなるよう、産業振興やレジリエンス強化などの地域課題と脱炭素の同時解決を目指し、地方創生に資する形で取り組みを進めます。都道府県、市町村、金融機関、中核企業などが連携し、「産官学金労言」を挙げた施策連携体制を構築することが重要です。国は、2026年度以降2030年度までの5年間を新たな実行集中期間と位置付け、地域特性に応じた再エネを活用した創意工夫ある地域脱炭素の取り組みを展開する「地域脱炭素2.0」を推進します。
具体的な取り組み
- 地域脱炭素の横展開: 地方創生に資する脱炭素化の先行的な取り組みを示す脱炭素先行地域を2030年度までに少なくとも100地域実現し、得られた知見や事例を積極的に周知・発信します。
- 役割分担と連携: 小規模な地方公共団体の人材・財源不足を踏まえ、都道府県や連携中枢都市圏と共同で脱炭素化を推進します。中小企業の脱炭素化についても、都道府県が主導し、地域金融機関との連携策を検討します。
- 支援体制の強化: 再エネの自家消費分を把握するため、国から事業者や住民への補助事業情報を地域単位で提供することを検討します。また、新たな技術への対応を中心に、効果的な財政スキームを検討し、専門人材の派遣や育成を強化します。人材育成面では、脱炭素アドバイザー資格認定制度の普及を促進し、金融機関や中小企業の人材を育成します。
- 地域共生型再エネの推進: 再エネ促進区域制度のインセンティブ強化や立地誘導に関する制度的対応を検討し、営農型太陽光発電や地熱発電、小水力発電、風力発電などの地域共生型導入を推進します。
- エネルギーマネジメントの高度化: 系統増強とともに、蓄電池やマイクログリッドの導入支援により、自家消費・地域消費による再エネの最大活用を促進します。また、EVや水素などを活用し、DXを活用した高度な地域エネルギーマネジメントシステムのモデルを構築します。
- 新技術の実装と需要創出: ペロブスカイト太陽電池や水素などの新技術の導入を支援し、グリーンスチールなどの環境負荷低減製品を公共調達で活用することで需要を拡大します。
個別分野での取り組み
- 公共施設の脱炭素化: 複数の地方公共団体による公共施設への再エネの共同調達・設置を推進し、避難施設や防災拠点への再エネ・蓄電池導入を加速します。
- 住宅・建築物の脱炭素化: 太陽光発電設備設置義務化条例の先進事例を横展開し、建築物省エネ法に基づく省エネ基準の引き上げを進めます。また、断熱窓や高効率給湯器の導入等の省エネ改修の支援を進めます。
- 循環経済への移行を通じた脱炭素化:食品ロス削減に向けた取組、プラスチック資源循環促進法に基づく取組や、再資源化事業等高度化法に基づく取組等により循環経済への移行を進めます。
- 脱炭素型まちづくり:コンパクト・プラス・ネットワークの取組を進めるとともに、改正都市緑地法に基づき緑地確保を促進しインフラ空間の脱炭素化を促進します。また、モビリティの脱炭素化やエネルギー需要の大きい施設を再エネポテンシャルの高いエリアに誘導する施策を推進し、熱の脱炭素化による都市GXを推進します。
- 食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立:みどりの食料システム法に基づく認定の拡大や農林水産分野のJ-クレジットの創出拡大を推進します。
- 脱炭素型ライフスタイルへの転換:カーボンフットプリント表示の共通化
JCNAの見解
環境省認定制度脱炭素アドバイザー・アドバンスト資格であるJCNAカーボンニュートラルアドバイザー・アドバンスト資格を運営するJCNAでは、具体的取り組みの6番目にあるように、脱炭素アドバイザー認定制度の推進による人材育成のために、JCNAカーボンニュートラルアドバイザー資格の普及に努めてまります。
JCNAでは、環境省認定制度脱炭素アドバイザー・アドバンスト資格であるJCNAカーボンニュートラルアドバイザー・アドバンスト資格の認定を開始しました。 本資格を取得することで、中小企業の脱炭素経営に必要な知識を得ることができます。 資格の詳細へ