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2025.02.14

CNA解説:J-クレジットとI-RECの違いとその利用について

CNA解説:J-クレジットとI-RECの違いとその利用について

J-クレジットとI-RECは、どちらも環境価値を証明する制度ですが、それぞれ目的や適用範囲が異なります。

J-クレジットは、日本国内でのCO₂削減量や吸収量を証明するためのクレジット制度です。これは、省エネルギー設備の導入、再生可能エネルギーの利用、森林管理などによるCO₂削減・吸収の取り組みを認証し、取引できる形にしたものです。企業や自治体はJ-クレジットを購入することで、自らのCO₂排出量をオフセット(相殺)し、カーボンニュートラルの実現を目指すことができます。しかし、SBT(Science Based Targets)の目標達成には、J-クレジットを用いることはできません。 SBTでは、企業が科学的根拠に基づいて自らの排出量を直接削減することが求められるため、カーボンオフセットは削減手段として認められていません。

一方、SHK(環境省の温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度)では、J-クレジットを活用して排出量の削減が可能ですが、適用できるのは「調整後排出量」のみであり、「基礎排出量」には使用できません。 SHK制度では、企業のエネルギー使用量に基づいて算出される「基礎排出量」と、そこからJ-クレジットなどのオフセット手段を適用して調整された「調整後排出量」の2種類の排出量が存在します。J-クレジットは、調整後排出量の削減手段として認められていますが、基礎排出量には適用できず、実質的なエネルギー使用の削減が求められます。そのため、SHK制度の目標達成には、J-クレジットの活用に加え、エネルギー効率改善や再生可能エネルギーの導入といった実際の削減対策も重要です。

一方、I-REC(International Renewable Energy Certificate)は、再生可能エネルギーによって発電された電力の「環境属性」を証明する国際的な制度です。I-RECは1MWhの再生可能エネルギー発電に対して1枚発行され、企業や組織が購入することで、再生可能エネルギー由来の電力を使用していることを証明できます。GHGプロトコルのスコープ2(間接排出)の「マーケット基準」では、I-RECを利用することで、電力使用に伴うCO₂排出量をゼロとして報告することが可能になります。これにより、企業はRE100やCDPなどの国際的な環境基準に準拠した再生可能エネルギーの調達を証明することができます。

このように、J-クレジットはカーボンオフセットの手段としてSHK制度の「調整後排出量」の削減には利用できるが、SBTの目標達成やSHK制度の「基礎排出量」には使用できないという点に注意が必要です。一方、I-RECは再生可能エネルギーの使用を証明し、スコープ2の排出量削減に貢献する制度であり、企業の脱炭素経営戦略において適切な選択肢となります。

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