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2024.12.09

二国間クレジット制度(JCM)の最新動向

二国間クレジット制度(JCM)の最新動向

環境インフラ海外展開プラットフォーム(JPRSI)の2024年度第2回セミナーでは、環境省 地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付 JCM推進室JCM推進企画官 百瀬 嘉則氏から、JCMに関する最新動向の報告がありました。ここでは、JCMの説明も含めてわかりやすく解説します。

二国間クレジット制度(JCM)は、途上国への脱炭素技術やサービスの普及を通じて、温室効果ガス(GHG)の排出削減を促進する仕組みです。日本は29か国と協定を締結し、2030年までに1億トンCO2の削減を目指しています。この制度は、日本のNDC(国が決定する貢献)の達成にも寄与し、パリ協定第6条の市場メカニズムに基づいて実施されています。

JCMの目的と進捗状況

  1. 目的
    • 日本の優れた脱炭素技術を海外に普及。
    • 温室効果ガスの削減量を日本の排出削減目標に組み込む。
    • 途上国における持続可能な開発を促進。
  2. 進捗状況
    • パートナー国:現在29か国と協定締結済み。
    • プロジェクト:250以上のプロジェクトが進行中。
    • 想定削減量:2030年までに累計約1億トンCO2の削減を目標。

JCMの仕組みとメリット

  1. 仕組み
    • 日本政府が初期投資を支援することで、脱炭素技術の選択を促進。
    • 途上国で削減されたCO2はクレジットとして日本が取得可能。
    • すべてのプロジェクトはMRV(測定・報告・検証)による評価を受ける。
  2. メリット
    • 日本企業が海外市場での脱炭素技術展開を拡大。
    • 途上国の排出削減支援による国際的な貢献。
    • 地球温暖化対策の一環として、世界的な協力体制を強化。

JCMの最新動向

1. 技術革新の導入 JCMでは、既存技術だけでなく、新たな脱炭素技術の普及に注力しています。特に、グリーン水素技術やカーボンニュートラルに寄与するバイオマス発電、大規模な風力発電プロジェクトが注目を集めています。

2. 資金支援の強化 環境省は新しい資本主義のグランドデザインに基づき、JCM設備補助事業を拡充。特に、途上国での初期投資コストが高い技術の導入を促進するため、最大50%の補助を提供しています。また、民間資金を活用したJCMプロジェクトの組成をガイドラインに基づいて推進しています。

3. 新規パートナー国との協力 最近では、スリランカ、チュニジア、アゼルバイジャンなど新たに協定を結んだ国々でプロジェクトが進行中です。特にスリランカでは、太陽光発電技術を活用したプロジェクトが開始されました。

具体的なプロジェクト例

  • 再生可能エネルギー:太陽光発電、小水力発電、風力発電など。
  • 省エネルギー:高効率エアコン、LED街路灯、産業用冷凍機など。
  • 廃棄物処理:廃棄物発電、メタンガス回収技術。
  • その他:コージェネレーションシステム、水上太陽光発電など。

課題と今後の展望

  1. 課題
    • パリ協定第6条のルール整備に時間がかかる。
    • 導入実績が多い技術の新規採択が困難。
    • 途上国の制度整備や能力向上が必要。
  2. 今後の展望
    • 2025年までにパートナー国を30か国に拡大。
    • 大型案件や新技術の優先支援を強化。
    • 民間主導のJCMプロジェクトの推進。

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