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2024.12.24

環境省 地域脱炭素促進制度について

環境省 地域脱炭素促進制度について

環境省の地域脱炭素化促進事業は地球温暖化対策の推進に関する法律(通称 温対法)の2021年の改正で始められた地域の再エネを活用した脱炭素化を促進するための計画・認定制度です。この制度は、日本の2050年カーボンニュートラル実現を目指し、地域レベルでの具体的な行動を促進するための事業として位置付けられています。

基本的な制度全体の流れは下記のようになっています。(環境省の資料より


ポイント

  1. 地域特性に応じた取り組みの推進
    地域ごとにエネルギー源や人口構成が異なるため、適切な戦略が求められます。例えば、再生可能エネルギー資源の豊富な地域では太陽光や風力発電を活用し、都市部では省エネルギー技術の導入が推奨されています。
  2. 自治体と市民の連携強化
    地域での脱炭素化は自治体だけでなく、住民参加型の取り組みが必要とされています。特に、市民が主体となってエネルギーを選択・利用する仕組みづくりが強調されています。
  3. 技術革新と資金調達の支援
    脱炭素社会を実現するには、技術革新とそれを支える資金調達が不可欠です。政府は補助金や税制優遇措置を活用し、地域の脱炭素化プロジェクトを後押しします。

想定される分野

  1. エネルギー分野
    • 再生可能エネルギーの導入拡大(太陽光、風力、小水力、地熱など)。
    • 地域のエネルギーマネジメントシステム(EMS)の構築。
    • 電化と水素エネルギーの活用促進。
  2. 建築物分野
    • 省エネルギー基準を満たす新築建築物の増加。
    • 既存建築物の断熱性能向上。
    • 地域で利用可能な再エネ熱の活用。
  3. 輸送分野
    • 電気自動車(EV)の普及促進。
    • 自転車や公共交通機関の利用拡大。
    • 燃料電池車や次世代燃料の導入。
  4. 産業分野
    • 省エネルギー設備の導入支援。
    • 脱炭素技術を活用した産業構造の転換。
    • 地域産業との連携による循環型経済の構築。

地域での事例

1. 再生可能エネルギーの地産地消

  • 事例地域: 長野県など
  • 内容:
    再生可能エネルギーを地域で生産し、地域内で消費する仕組みを構築。
    具体的には、太陽光発電や小水力発電、バイオマス発電を活用し、地域の公共施設や家庭への電力供給を実現している。
    • 効果: エネルギーの自給率向上、地域経済の活性化。
    • ポイント: 地域の自然条件に適したエネルギー源を選択し、住民や地元企業が主体的に関与する形をとっている。

2. ゼロカーボンシティの宣言と行動

  • 事例地域: 東京都、横浜市、富山市など
  • 内容:
    自治体が2050年カーボンニュートラルを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言し、具体的な計画を策定・実行。
    例として、横浜市では再エネの利用拡大とともに、建物の省エネ改修や公共交通の利用促進が行われている。
    • 効果: 都市の脱炭素化を促進し、全国への波及効果を期待。
    • ポイント: 政策と実行が一体化しており、長期的な視点で計画が進められている。

3. 地域の省エネ型公共交通の普及

  • 事例地域: 熊本県阿蘇市、愛知県豊田市など
  • 内容:
    自動車依存を減らし、公共交通や自転車を中心とした移動システムを導入。
    熊本県阿蘇市ではEV(電気自動車)バスの運行が行われており、地域の観光需要と環境保全を両立。
    • 効果: 観光資源の持続的利用、CO2排出量削減。
    • ポイント: 観光地の特性に合わせた交通計画が進められている。

4. 地域循環共生圏の構築

  • 事例地域: 岩手県一関市、滋賀県大津市など
  • 内容:
    地域内の資源循環を促進する取り組みを展開。一関市では、農業廃棄物を活用したバイオマスエネルギー生産と農業利用を組み合わせたモデルを導入。
    滋賀県では、琵琶湖の環境保全と地域農業を結び付けた循環型経済を推進している。
    • 効果: 廃棄物の減少、地域内経済の自立性向上。
    • ポイント: 地域内の資源を最大限に活用し、持続可能なシステムを構築。

成功事例に共通する特徴

  1. 地域の特性を活かす: 自然条件、産業構造、社会的背景に基づき最適な戦略を選択している。
  2. 住民参加: 住民や地元企業が積極的に計画立案・実行に関与している。
  3. 行政のリーダーシップ: 自治体が主導して方向性を明確にし、政策支援や資金調達を行っている。
  4. 技術と資金の活用: 技術革新や補助金を活用し、初期コストや運用課題を克服している。

期待される効果と課題

効果:
地域のエネルギー自給率向上、経済の活性化、雇用創出、レジリエンス向上などが期待されます。また、住民の環境意識向上も副次的な成果として見込まれています。

課題:
導入コストの高さや専門人材の不足、住民の合意形成の難しさが指摘されています。これに対し、政府は技術支援や啓発活動を通じて地域を後押しする方針です。


今後の展望とJCNAの取り組み

令和7年4月1日から施行される温対法の改正により、地域脱炭素化促進事業制度が拡充され現在、市町村のみが定めることができる再生可能エネルギーの促進区域等について、都道府県及び市町村が共同して定めることができることとし、その場合、複数市町村にわたる地域脱炭素化促進事業計画の認定を都道府県が行うことなりました。

環境省は、自治体や企業との連携をさらに深め、全国的な取り組みを支える枠組みを整えることを目指しています。また、地方脱炭素ロードマップの定期的な見直しとアップデートを行い、変化する社会状況や技術進展に柔軟に対応する予定です。

環境省認定制度脱炭素アドバイザー・アドバンスト資格であるJCNAカーボンニュートラルアドバイザー・アドバンスト資格を運営するJCNAでは、自治体と企業をつなぐコンソーシアムを各地で組成し、地域の実行計画を下支えしてまいります。


JCNAでは、環境省認定制度脱炭素アドバイザー・アドバンスト資格であるJCNAカーボンニュートラルアドバイザー・アドバンスト資格の認定を開始しました。 本資格を取得することで、中小企業の脱炭素経営に必要な知識を得ることができます。 資格の詳細へ

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